概要
QT延長症候群は、心室の電気的な興奮から回復までに時間がかかり、心電図のQT間隔が長くなる病気です。危険な心室の不整脈を起こし、失神や心停止につながる場合があります。
症状がないまま健診で見つかることも、動悸・失神・けいれんのような発作で分かることもあります。生まれつきの先天性と、薬や電解質の異常などに伴う後天性があり、女性や幼児だけの病気ではありません。健診でのQT延長の指摘だけで診断が確定するわけでもありません。
原因
先天性では、心筋細胞の電気信号を調節するイオンチャネルなどに関わる遺伝子の病的な変化が原因になります。遺伝的な背景によって運動・驚き・睡眠など発作の誘因が異なることがありますが、誘因だけで病型は判断できません。
後天性では、特定の薬、血液中のカリウム・マグネシウム・カルシウムの不足、遅い脈などが関係します。複数の要因が重なることや、後天性と考えられた人に遺伝的背景があることもあります。服薬一覧と、嘔吐・下痢などの体調変化を医師に伝えてください。
治療法
後天性では、医療機関で原因となる薬の見直しや電解質の補正などを行います。症状や危険性によっては入院して心電図を監視し、危険な不整脈に対する緊急治療を行います。薬やサプリメントで自分で調整しないでください。
先天性では、発作の危険性を評価し、生活上の対策とβ遮断薬などを組み合わせます。無症状でも薬が必要な場合があります。心停止の既往や治療中の発作などに応じてICDなども検討します。治療で危険性を下げられますが、『薬を飲めば突然死を確実に防げる』とはいえず、継続した管理が必要です。
健診で指摘されたときの検査
QT間隔は脈拍や測定状況などで変わるため、心電図を繰り返し確認します。必要に応じて長時間の心電図記録、運動負荷検査、血液検査などを組み合わせ、薬の影響や電解質の異常も調べます。 過去の失神、運動中や水泳中に具合が悪くなった経験、血縁者の若年での突然死、薬の情報を伝えてください。先天性が疑われれば遺伝子検査を検討しますが、原因遺伝子が見つからない場合にも、臨床的に診断されることがあります。
薬・嘔吐や下痢のときの相談
処方薬、市販薬、サプリメントを含む一覧を持ち、他の診療科や薬局でもQT延長症候群と伝えます。新しい薬を使う前に確認し、治療薬は自己判断で中断しないでください。 嘔吐・下痢が続くと電解質の異常が加わることがあります。水分が取れない、強い脱力や動悸がある場合は早めに医療機関へ相談します。カリウムやマグネシウムを自分で大量に補ったり、極端な食事制限をしたりしないでください。
運動・学校生活・家族の検査
運動や水泳の可否は、病型、心電図、症状、治療への反応に応じて専門医と決めます。全員に同じ制限を当てはめたり、『症状がないので自由に競技できる』と判断したりしないでください。 学校・指導者と必要な制限、服薬、緊急時の対応を共有しましょう。先天性と診断された場合は、親・子・きょうだいなどに検査が必要か相談します。遺伝子検査を行う際には、結果の意味と限界を含む説明を受けてください。
失神と救急対応
失神、けいれんのような発作、動悸に伴う意識が遠のく感じは放置せず、速やかに評価を受けてください。強い胸痛や息苦しさ、意識の異常が続く場合は119番です。 倒れて呼びかけに反応がない場合は、周囲の人が119番通報とAEDの手配を行い、通信指令員の指示に従ってください。病名や服薬を伝えられるよう、家族と情報を共有しておきましょう。