概要
『肺感染』は、細菌・真菌・寄生虫などが肺に感染する病気の総称で、一つの診断名ではありません。発熱、咳、痰、息切れ、血痰などが現れる場合があります。病原体によって、進み方、必要な検査、治療薬が違います。特に免疫を抑える薬を使っている人、がん治療中の人、HIV感染症などで免疫が低下した人では、真菌による重い肺炎も起こり得ます。息苦しさが強い、急速に悪化する、血を吐く場合は早急に受診してください。
原因
真菌の例にはアスペルギルス、クリプトコッカス、ニューモシスチスなどがあり、細菌や寄生虫が原因の肺感染もあります。ヒトのニューモシスチス肺炎の原因はPneumocystis jiroveciiという真菌です。旧名『P. carinii』をヒトの原因菌として、また原虫として扱う説明は現在の分類と異なります。肺吸虫症は生または加熱不十分な淡水のカニ・ザリガニを食べた後に起こり得ます。カンジダは口腔や気道に定着することが多く、痰から検出されただけではカンジダ肺炎とはいえません。真のカンジダ肺炎はまれで、重い免疫低下などの状況で検討します。
治療法
胸部X線・CTで肺の状態を確認し、病状に応じて喀痰、血液、気管支鏡などで原因を調べます。真菌が痰で見つかっても、感染か単なる定着かを症状・画像・ほかの検査と合わせて判断します。細菌感染には適切な抗菌薬、真菌感染には病原体と病型に応じた抗真菌薬、寄生虫感染には対象に応じた治療を選びます。ニューモシスチス肺炎には抗真菌薬を一律に使うのではなく、適切な抗微生物薬が必要です。免疫抑制薬の使用歴、持病、海外旅行、淡水のカニ・ザリガニの生食などを受診時に伝えてください。治療前に原因が確定できないこともあり、医師が重症度と検査結果に応じて治療開始や見直しを決めます。
息苦しさの悪化や喀血は早めに受診
肺感染は原因を症状だけで決められません。息苦しさが強い、急速に悪化する、血を吐く場合は早急に医療機関へ相談してください。
免疫状態と曝露歴を伝える
免疫を抑える薬、抗がん剤治療、HIV感染症、肺の持病、旅行や淡水のカニ・ザリガニの生食歴は診断に役立ちます。
痰のカンジダは肺炎の確定ではない
カンジダは気道に定着することが多く、喀痰培養だけで真のカンジダ肺炎と診断して抗真菌薬を始めるものではありません。
『カリニ肺炎』は現在の名称を確認
ヒトのニューモシスチス肺炎の原因はP. jiroveciiという真菌です。古い資料の『カリニ』や『原虫』という表記をそのまま現在の説明には使いません。