概要
腎性尿崩症は、腎臓が抗利尿ホルモン(バソプレシン/ADH)に十分反応できず、水分を尿から取り戻しにくくなる病気です。薄い尿が大量に出て、強い喉の渇きや多飲が起こります。
水分を補えないと脱水や高ナトリウム血症につながります。乳幼児では、発熱、哺乳不良、体重増加の遅れなどで見つかる場合があります。腎臓の働きがすべて失われるという意味ではありません。
原因
生まれつきの遺伝子の変化によるものと、後から起こるものがあります。薬剤、血液中のカルシウムが高い・カリウムが低い状態などが原因となります。
リチウムなどを使っている人に多尿が出た場合は、処方医へ相談してください。原因の薬を変更できるかは、元の病気の治療も考えて判断します。妊娠性尿崩症は機序が異なり、腎性の原因として一括りにしません。
治療法
脱水を防ぐことが基本です。後天性では原因の治療や薬の見直しにより改善する場合があります。遺伝性などでは継続的な管理が必要となり、尿量を減らす目的でサイアザイド系などの薬を用いることがあります。
すべての人に同じ薬や食事制限を行うわけではありません。減塩などが勧められる場合も、年齢・成長・栄養状態に合わせて医師や管理栄養士と具体的な量を決めます。自己判断で極端な水分・食事制限をしないでください。
検査で原因と水分バランスを確認
採血と尿検査で尿の濃さ、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどを確認し、薬の影響や中枢性との違いを調べます。遺伝性が疑われる場合は遺伝子検査を検討することがあります。検査のために自宅で飲水を断つことは避けてください。
水を飲める環境と成長の確認
学校・職場でも水分とトイレを利用できるよう相談します。乳幼児や自分で飲めない人は、周囲が水分補給を支える必要があります。子どもでは身長・体重の推移も診療で確認します。尿量が増えた、食べられない・飲めない場合の連絡先を決めておきましょう。
脱水が疑われるときの受診
多尿が続くのに飲めない、嘔吐・下痢が続く、ぐったりするなどのときは速やかに医療機関へ相談してください。意識がおかしい、けいれん、倒れた場合は119番へ連絡します。尿崩症の病名と薬を伝え、脱水と電解質の状態を確認してもらいます。