概要
高血圧性脳症は、急な、または著しい血圧の上昇によって脳の血流調節が破綻し、脳にむくみが生じる緊急の病態です。頭痛、吐き気・嘔吐、見え方の異常、意識の変化、けいれんなどが起こります。治療が遅れると重い脳障害や死亡につながることがあり、病院で迅速に評価し治療する必要があります。
原因
血圧の上昇が脳の血流を調節できる範囲を超えると、血管から水分などが漏れ出し、脳にむくみが生じます。普段の血圧や上がり方によっても危険性が変わるため、特定の血圧値を超えた場合だけに起こる、とはいえません。原因の評価では、これまでの高血圧と治療、腎臓やホルモンの病気などの背景も確認します。
治療法
原則として入院し、血圧と脳・ほかの臓器の状態を監視しながら、調節しやすい点滴の降圧薬などで治療します。下げる速さや目標は病態に応じて決めます。急激に下げすぎると脳への血流が不足する危険があるため、自宅で薬を追加して正常値まで下げようとしないでください。落ち着いた後も、原因の評価と継続的な血圧管理が必要です。
救急の症状があれば、測り直しを待たない
突然の激しい頭痛、反応がおかしい・意識がない、けいれん、急な見え方の異常、片側の麻痺、言葉の異常などは、脳卒中などを含めて緊急評価が必要です。すぐ119番し、血圧を繰り返し測って下がるのを待たないでください。急な胸痛や息苦しさも救急の目安です。病名を自分で決めず、起きている症状を伝えてください。
脳卒中などとの区別が必要
血圧の高さと頭痛だけでは、高血圧性脳症と診断できません。診察とCT・MRIなどで、脳のむくみや脳梗塞・脳出血などを評価します。MRIでPRESと呼ばれる所見がみられることがありますが、この記事だけで画像や症状を判断するものではありません。病院では血圧と臓器障害を迅速に確認し、必要な治療を進めます。
血圧の数字だけで救急かどうかを決めない
高血圧緊急症は、高い血圧に加えて脳・心臓・腎臓などの急性の障害が進む状態です。高血圧性脳症では、普段の血圧や急な上昇によって、典型的な高値より低い値でも緊急対応が必要になります。症状があるときは数値で安心しないでください。症状がなくても、著しく高い値が続く場合は速やかに医療機関へ相談し、対応を確認します。
救急隊・病院に伝えること
通報や受診を遅らせない範囲で、症状が始まった時刻、最後に普段どおりだった時刻、手元にある血圧記録、服薬中の薬を伝えてください。飲み忘れ、薬の変更、市販薬やサプリメント、妊娠・産後や腎臓の病気なども診療に関わる情報です。薬を自分で追加した場合は、その薬名・量・時刻も必ず伝えます。
退院後は、原因と管理計画を確認
血圧と症状が落ち着いても、自己判断で薬をやめず、再診と家庭血圧の記録を続けます。処方された薬の飲み方、管理目標、飲み忘れ時の対応、再び高い値や症状が出たときの連絡先を退院前に確認してください。回復の程度には個人差があります。症状が残る場合は、診察で経過を伝えてください。