概要
胸膜中皮腫は、肺や胸壁を覆う胸膜から発生するがんです。胸の痛み、咳、息切れ、胸水による胸の圧迫感などが現れますが、症状だけでは肺がんやほかの胸膜の病気と区別できません。胸部X線やCTで胸水・胸膜の厚みが見つかっても、それだけで確定はできず、胸膜の組織を採って調べることが重要です。息切れが強い場合は早めに受診し、石綿に関わる仕事や住居の経験も伝えてください。
原因
石綿(アスベスト)を吸い込んだ経験が主な原因で、曝露から長い年月を経て発症することがあります。建築・解体などの作業歴だけでなく、石綿を扱った施設の周辺に住んだ経験なども診療時に役立ちます。一方、石綿に接した人が全員発症するわけではなく、曝露歴が明らかでない人にも起こります。自分に曝露歴がないと思っても、それだけで病気を否定できません。
治療法
胸膜生検などによる病理診断の後、病型、病期、体力、希望を踏まえて専門チームが方針を決めます。手術は限られた患者で検討され、診断された人が一律に受ける治療ではありません。切除できない場合も、ニボルマブとイピリムマブなどの免疫チェックポイント阻害薬、プラチナ製剤とペメトレキセドを含む薬物療法が選択肢です。放射線療法は痛みなどを和らげる目的にも使います。胸水による苦しさには排液や胸膜癒着術を検討し、症状を和らげるケアは薬物療法と並行できます。治療薬の国内での適応や使い方は更新されるため、具体的な組み合わせは担当医と確認してください。石綿との関連が疑われる場合は、病院のがん相談支援センターや医療ソーシャルワーカーに労災補償・石綿健康被害救済制度について相談できます。
画像や胸水だけで決めない
胸水や胸膜肥厚があっても中皮腫と確定はできません。胸膜の組織を採り、病理で病型を調べることが治療選択につながります。
手術の可否と薬物療法を一緒に確認
手術が可能かは病期や病型、全身状態で判断します。切除不能でも免疫チェックポイント阻害薬や抗がん薬の選択肢があるので、専門チームに説明を受けてください。
胸水・痛みへの対応も相談
息苦しさや痛みは、がんの治療と同時に和らげる方法があります。胸水の排液、胸膜癒着術、放射線や緩和ケアの適否を相談できます。
石綿の仕事・居住歴と支援制度を確認
石綿に関わる仕事や居住歴を担当医に伝え、がん相談支援センターに労災補償や石綿健康被害救済制度を相談してください。曝露歴が不明でも制度の適否を自己判断であきらめる必要はありません。