概要
腎嚢胞は腎臓に液体のたまった袋ができた状態です。この記事は単純性腎嚢胞を扱います。多くは良性で症状がなく、健診やほかの目的の超音波・CTなどで偶然見つかります。ただし、まれに大きな嚢胞の圧迫、感染や出血、尿の流れの妨げにより痛み・発熱・血尿などが出ます。単純性嚢胞、多発性嚢胞腎、追加評価が必要な複雑な嚢胞性病変は区別します。
原因
単純性腎嚢胞の原因は十分には分かっていません。年齢とともに見られやすくなります。『尿がたまって出口が詰まる』という説明を全例の確定原因にはできません。嚢胞が複数あるだけで遺伝性の多発性嚢胞腎と決まるわけではなく、画像の性状や腎臓の大きさ、家族歴、腎機能などを踏まえて評価します。
治療法
単純性腎嚢胞と確認され、症状やほかの問題がない場合は治療を必要としないことが多く、経過確認の必要性も状態により異なります。画像で単純性と判断できない場合は追加評価を行います。痛みや尿路の圧迫などを起こしている場合は、必要に応じ排液・硬化療法や手術を検討します。嚢胞があるだけで全員が手術を受けるわけではありません。
健診結果は『単純性』か、追加評価が必要かを確認
嚢胞の大きさ・場所・数と、壁や内部などの画像所見を説明してもらいます。単純性か判断が難しい場合は、CT・MRIなどで確認することがあります。検査ごとの目的と造影剤を使うかを確認し、腎機能やアレルギー、妊娠の可能性も伝えます。結果を見て自分でがんと決めたり、嚢胞ならすべて安全と決めたりしないでください。
痛み・発熱・血尿を、嚢胞だけのせいにしない
新しいわき腹・背中の痛み、発熱や血尿が出た場合は、感染・出血やほかの病気がないか受診します。強い痛み、具合が悪く水分が取れない、尿が明らかに減る場合は早急に相談してください。意識の異常などがあれば119番です。症状が起きた時刻と検査結果、服薬中の薬を伝えます。
経過確認と治療は、症状・画像・尿の流れで選ぶ
追加検査が必要な理由、次の検査の有無と時期、変化があったときの連絡先を確認します。単純性の嚢胞が問題を起こしていなければ、処置をしない判断もあります。排液や手術を検討する場合は、何を改善するためか、危険や再発の可能性、ほかの方法について相談してください。腫瘍を疑う嚢胞性病変は、単純性嚢胞の排液治療とは別に評価します。
多発性嚢胞腎の薬や生活指示を、そのまま当てはめない
単純性腎嚢胞は、遺伝性の多発性嚢胞腎と同じ病気ではありません。嚢胞が複数ある、家族に腎臓病がある、腎機能が低下している場合は、その情報を伝えて病気の種類を確認します。多発性嚢胞腎の薬や飲水の指示を自分に当てはめず、併存する腎臓病・高血圧などがあれば、その治療と検査を別に相談しましょう。