概要
バーター症候群は、生まれつき腎臓の尿細管で塩分などを再吸収する働きに異常があり、尿へ失われることで電解質や水分のバランスが乱れる病気です。低カリウム血症や代謝性アルカローシスを伴い、尿が多い、のどが渇く、脱力・筋肉の症状、脱水などが現れます。成長や聴力、腎機能への影響は病型によって異なり、全員に発育不全や発達の遅れが生じるわけではありません。
原因
尿細管のチャネルや輸送体に関わる遺伝子の変化が原因です。塩分を尿へ失うため、血圧は正常から低めのことが多く、体が塩分を保とうとするレニン・アルドステロンの働きが高まります。似た検査所見を示すギッテルマン症候群や、嘔吐・薬などによる状態もあるため区別します。遺伝の形式や発症時期は病型により異なります。
治療法
失われる水分と電解質を補い、症状・検査に合わせてカリウムなどの補充を調整します。必要に応じて非ステロイド性抗炎症薬などを検討しますが、腎機能への影響も確認しながら専門医が選びます。塩分を失う病態なので、一律の減塩指導は適しません。飲水・食事・薬の指示と、発熱や嘔吐で飲めないときの対応を決め、成人期も必要な診療を続けます。
飲めない・吐くときは、早めに連絡
発熱、嘔吐や下痢で水分や薬をとれない、普段よりぐったりする、筋力低下が強い場合は早急に担当医へ相談・受診します。意識の異常、倒れる、強い息苦しさなどは119番です。特に子どもでは体調不良時の脱水に注意し、家庭で対応できる範囲と連絡先をあらかじめ確認しましょう。
血液・尿・血圧を合わせて診断する
カリウム、マグネシウムなどの電解質、血液の酸・アルカリの状態、レニン・アルドステロン、尿中への排泄などを確認します。病型に応じて腎石灰化や聴力も調べ、遺伝学的検査を検討します。低カリウム血症の一項目だけで診断せず、嘔吐や利尿薬・下剤などの影響も確認します。
塩分と水分の目標を担当医と決める
一般的な高血圧の減塩指導をそのまま当てはめず、失われる塩分・水分を考えて食事と飲水を相談します。必要な量は年齢、尿量、暑さ、検査結果などで異なります。塩を直接なめる、大量の水だけを飲むなどの方法を自己流で始めず、毎日の指示と体調不良時の対応を確認してください。
補充薬と追加薬を、検査で調整する
カリウムなどの補充は検査と症状に合わせて調整します。非ステロイド性抗炎症薬を使う場合は、効果と腎機能への影響を確認します。市販の鎮痛薬を自己判断で加えず、飲めない・吐く・脱水が疑われるときの薬の扱いを担当医と決めてください。処方の量や組み合わせは全員同じではありません。
成長・聴力・腎機能は病型に応じて確認
子どもでは体重や身長の推移と栄養を確認し、必要な支援を相談します。難聴、腎石灰化や腎機能低下の有無も病型と経過に応じて調べます。病名だけで発達や将来の腎不全を決めつけず、本人について分かっていることと、今後確認することを聞きましょう。
成人の診療への引き継ぎを準備する
症状が落ち着いていても、補充や腎機能の確認が必要な場合があります。成人の腎臓内科への引き継ぎでは、病型・検査結果・薬・悪化時の対応をまとめましょう。家族や妊娠について知りたい場合は遺伝の相談を受け、同じ病名でも遺伝形式が異なる場合があることを確認します。