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膀胱尿管逆流症

最終改定日:

概要

膀胱尿管逆流症(VUR)は、膀胱にたまった尿が尿管、場合によっては腎臓側へ逆流する状態です。逆流自体で症状が出ないこともありますが、尿路感染症を繰り返す、出生前後の超音波で異常を指摘されるなどのきっかけで見つかります。感染すると発熱、背中やわき腹の痛み、排尿時の痛みなどが現れ、乳児では飲みが悪い、嘔吐、機嫌の悪さなどで気づく場合もあります。

原因

尿管と膀胱のつなぎ目にある逆流防止の仕組みが、生まれつき十分に働かない原発性と、尿の出口の通過障害や膀胱の神経・排尿機能の問題などに伴う続発性があります。逆流の程度だけでなく、感染の繰り返し、膀胱・便通の状態、腎臓の発育や傷みを評価します。成長に伴い改善する場合もありますが、すべて自然に消えるとは限りません。

治療法

目的は尿路感染を防ぎ、腎機能を守ることです。年齢、逆流の程度、腎臓の状態、感染や排泄の経過に応じて、経過観察、排尿・便通の管理、必要な抗菌薬の予防投与などを選びます。感染を繰り返す、重い逆流が持続するなどの場合は、内視鏡的な注入治療や逆流防止手術を検討します。続発性では原因の通過障害や膀胱機能にも対応します。自然に消えないという理由だけで全員に同じ手術を行うわけではありません。

発熱や飲みの悪さは、尿路感染の確認を早めに

VURがある子どもに発熱、飲みの悪さ、嘔吐、背中の痛みなどが出たら、尿路感染の可能性を治療先へ早めに伝えてください。予防薬を飲んでいても感染することがあります。特に生後3か月未満の発熱や、ぐったりして飲めない場合は速やかな診察が必要です。意識がはっきりしない、呼吸が苦しそう、けいれんなどは119番です。

超音波・造影・腎機能の検査は、目的を分けて確認

超音波で腎臓や尿路の形を調べ、逆流を確認するときは排尿時膀胱尿道造影などを検討します。腎臓の傷みや働きを調べる検査は別にあり、必要性と時期を相談します。超音波だけで逆流の有無が確定するとは限りません。感染時は尿の検査や培養を行います。これまでの発熱、感染と採尿の結果、抗菌薬、画像検査の記録を持参しましょう。

予防の抗菌薬と、発症した感染の治療を区別

抗菌薬の予防投与を行うか、いつまで続けるかは、感染リスクなどから担当医と決めます。薬は逆流の仕組みを直接治すものではなく、感染を減らす目的です。予防薬を飲んでいて発熱した場合も連絡し、残りの薬を増量して対応しないでください。耐性菌や副作用にも配慮し、飲み忘れや飲めないときの対応を確認しておきます。

排尿の我慢と便秘を、責めずに一緒に見直す

排尿を我慢する、尿もれ、便秘などは医療者へ伝えてください。トイレに行ける子どもでは、決めた時間に排尿するなど、膀胱の働きに合わせた習慣づくりを相談します。水分量も年齢や病状に合わせ、便秘には必要な治療を受けます。園や学校でトイレへ行きやすい環境を整え、できなかったことを責めず、続けられる方法を考えましょう。

手術や注入治療は、感染・腎臓・排泄の状態から選ぶ

治療の選択では、自然に改善する見込み、予防中の感染、腎臓の状態、排尿・便通の問題も確認します。注入治療と手術、手術の方法では利点や危険が異なります。自分の子どもに勧める理由、追加治療の可能性、入院・傷の手当て・活動再開を担当医へ聞いてください。腹腔鏡やロボットなどの方法を、すべての子どもに適する最新治療として一律に選ぶことはできません。

逆流が改善した後も、腎臓の状態に応じた通院を

逆流が消えたことと、すでにある腎臓の傷みが消えることは同じではありません。腎障害がある場合などは、尿タンパク、血圧、腎機能を長期に確認することがあります。次の検査と受診、発熱時の連絡先を確認しましょう。成人の診療科への引き継ぎや妊娠を考える時期には、幼少期の診断・手術・検査の記録を共有してください。

参考資料

  1. Vesicoureteral Reflux:原因・検査・治療・排泄管理(2018年6月見直し)米国国立糖尿病・消化器病・腎疾病研究所(NIDDK)
  2. 膀胱尿管逆流:概念・検査・腎機能保護と経過観察日本小児泌尿器科学会
  3. 小児の尿路感染:症状、尿培養、採尿、治療、経過観察日本小児泌尿器科学会
  4. 小児膀胱尿管逆流(VUR)診療手引き2025アップデート:外科治療の表と選択節(PDF1・3–6ページ)日本小児泌尿器科学会
  5. Antibiotics for vesicoureteral reflux:感染の治療と予防(2026年7月更新)欧州泌尿器科学会(EAU)
  6. Surgery for vesicoureteral reflux:手術の選択と術後の相談(2026年7月更新)欧州泌尿器科学会(EAU)
  7. Urinary tract infection in under 16s:症状・採尿・治療・再発予防と検査(NG224、2022年)英国国立医療技術評価機構(NICE)
  8. 救急車利用マニュアル:こども(15歳以下)総務省消防庁
  9. Bladder re-training for vesicoureteral reflux:排尿習慣(2026年7月更新)欧州泌尿器科学会(EAU)
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