概要
横隔膜ヘルニアは、胸とお腹を隔てる横隔膜の欠損や損傷から、お腹の臓器が胸側へ入り込む状態です。生まれつきのものは胎児期から肺の発育を妨げ、生まれた直後に強い呼吸障害を起こすことがあります。一方、事故などで横隔膜が傷ついて起こるものもあります。呼吸困難や胸・腹部の強い痛みがある場合、特に外傷の後は救急で評価を受けてください。胸やけを主症状とする食道裂孔ヘルニアは病態と治療が異なります。
原因
先天性では横隔膜が発育する過程で欠損ができ、胃や腸などが胸腔へ移動します。胎児超音波や出生後の胸部X線などで確認します。後天性では交通事故や胸腹部への強い外力などで横隔膜が損傷し、症状が遅れて出ることもあります。外傷後に疑う場合は胸腹部CTなどで評価します。肥満や妊娠だけで横隔膜が裂けると考えるのは適切ではありません。
治療法
先天性の重症例では新生児医療・小児外科チームが呼吸と循環を安定させ、その後に脱出した臓器を戻して横隔膜を修復します。手術で孔を閉じても未発達の肺が直ちに正常になるわけではなく、呼吸、肺高血圧、栄養、成長を継続して確認します。外傷性や腸が締め付けられた横隔膜ヘルニアでは緊急の外科評価が必要です。胃酸を抑える薬だけで横隔膜の欠損は治りません。
出生前に分かったら治療施設を相談
胎児超音波で判明した場合は、出生直後の呼吸循環管理と小児外科手術を行える施設について相談します。
外傷後の息苦しさや胸腹部痛は救急へ
横隔膜損傷は診断が遅れることがあります。事故や胸腹部外傷の後の症状を伝えます。
胸やけだけなら食道裂孔ヘルニアも区別
胃酸を抑える治療は横隔膜の欠損を閉じません。病型を医師に確認します。
手術後も肺と成長を見守る
孔の修復後も呼吸・肺高血圧・栄養・発達の経過観察が必要です。