概要
肝膿瘍は肝臓の中に感染に伴って膿がたまる病気です。主に細菌性と赤痢アメーバによるものがあり、原因によって治療が異なります。発熱・寒気、右上腹部の痛みやだるさなどがみられますが、症状が揃わないこともあります。治療が遅れると敗血症や膿瘍の破裂など重い合併症につながることがあります。
原因
細菌性では胆管の感染、お腹の中の感染や腸の穿孔、血液を介した感染、肝臓の外傷などを調べます。赤痢アメーバは汚染された飲食物を介した経口感染のほか、性的接触で感染することがあり、日本国内での感染もあります。海外渡航がないことや下痢がないことだけでは、アメーバ性を否定できません。
治療法
細菌性では抗菌薬を用い、膿瘍の状態や全身状態に応じて画像を見ながら管で膿を出す処置を組み合わせます。原因となる胆道などの病気への対応も必要です。アメーバ性ではメトロニダゾールが中心で、治療後に腸内の原虫に対する薬を追加することが推奨されています。アメーバ性の膿瘍は通常、穿刺して排膿する必要はありませんが、破裂の危険や治療反応が悪い場合などは検討します。
発熱と右上腹部痛が続くとき
発熱・寒気と右上腹部痛が続く、または治療中に高熱や痛みが増す場合は速やかに医療機関へ連絡します。意識がはっきりしない、強い腹痛や急な全身状態の悪化があれば救急受診を検討してください。症状だけで細菌性かアメーバ性かは決められません。
渡航歴だけでなく、感染経路を共有
胆道の病気、腹部の感染、内視鏡処置、肝臓のけが、最近の発熱の経過を伝えます。アメーバ性を疑う場合、海外渡航・滞在歴に加え、飲食と性的接触についても必要な範囲で医師に共有します。国内感染や下痢を伴わないケースがあるため、当てはまらない項目があっても相談できます。
画像と原因を調べる検査
腹部超音波やCTで膿瘍の場所・数・大きさを確認し、血液検査・血液培養で全身状態と細菌感染を調べます。必要に応じて膿を採取し培養することもあります。アメーバ性が疑われる場合は利用できる検査を医師が選びます。便に原虫が出ないこともあり、単一の陰性結果だけで判断しません。
細菌性とアメーバ性の治療の違い
細菌性では抗菌薬に加え、膿の大きさ・位置や全身状態によってドレナージを検討します。アメーバ性は薬物療法が中心で、通常はドレナージをしません。治療後の腸内原虫への薬の追加や、破裂の危険・改善不十分時に処置が必要かを確認します。薬の期間や排膿の要否を自己判断しないでください。
ドレナージを提案されたら
細菌性で膿の排出が必要な理由、画像を使う方法、管の管理、抗菌薬と原因疾患への治療を聞きましょう。アメーバ性でも全身状態が悪い、薬で改善しない、破裂の危険がある場合などは例外的に排膿します。「大きいから全例」「薬が無効になるまで待つ」とは限りません。
解熱後も治療の完了を確認
熱や痛みが落ち着いても、抗菌薬・抗原虫薬の終了時期、画像などでの再評価、もとの感染源への処置を確認します。再び発熱・痛みが出た場合の連絡先も決めておきます。赤痢アメーバで性的接触による感染が疑われた場合は、ほかの性感染症の検査についても相談します。