先天性難聴児についてお聞きします。現在生後3ヶ月です。退院の時 …
2010年05月07日
Q.質問
先天性難聴児についてお聞きします。現在生後3ヶ月です。退院の時と1ヶ月検診で聴力検査で2度両耳リファーがでて川崎市の総合病院の耳鼻科でABRの検査を4月末に受けました。睡眠薬で眠って受けたそうです結果が出て両耳とも悪かったそうです。普通の人はグラフで波が打つのに、右耳は平行線、左はほんの少し高低があったそうです。お医者様は経過を見ましょう・・ということで、又8月に検査するそうです。グラフに波がないということは全く治療法がない難聴ということでしょうか?調べたら感音性難聴は治療法がないというようなことを書いてありました。少しでも聞こえて言葉がしゃべれるようになるか心配です。右耳は全然聞こえなくて左もほとんど聞こえないという高度の難聴でしょうか?耳鼻科の先生や経験者者の方ご回答宜しくお願いします。
2010年05月09日
A.回答
耳鼻科医です。先天性の高度難聴は出生1000例に対し1例の割合でみられるとされています。先天性代謝異常は数千分の一で起こり、スクリーニングを行い適切な療育を施すことで精神遅滞などの重篤な障害を回避できます。先天性難聴も同様にスクリーニングを行い、早期から補聴器、人工内耳などの挿用を行う事で小児の言語習得リテラシーの獲得機会をもたらすことが出来るとの考えから出生直後~1ヶ月以内にスクリーニング検査を行う事業が始まりました。乳幼児の客観聴力検査には聴性脳幹反応(ABR)という装置を用います。これを持ち運べるように簡略化したのがAutomatic ABR(AABR)です。新生児の聴覚スクリーニングはAABRを用いて行うのが一般的です。AABRは見落としは少ないですが、診断精度の点ではABRに劣ります。そのため、スクリーニングでひっかかったが、難聴ではなかった、というケースが一定数発生します。これについては親の不安を煽る、という批判的な意見がありますが、早期療育によって言語習得できる、といった大きな利益が得られるケースが存在するため、今のところ肯定的に捉えられています。2回のスクリーニング検査でひっかかった場合、医療機関での二次検査になります。ここでは鎮静をかけてABRを行います。ABRは音を聞かせながら、脳の聴覚中枢に刺激に対応する活動電位(脳波)が出るかを調べます。数百回音刺激を与え脳波を見ますが、脳波が全くでない場合高度難聴が想定されます。二次検査で高度難聴と診断された場合、難聴の原因をさらに詳しく調べます。多くは内耳レベルの異常です。内耳奇形という胎児期に聴覚器が形成される過程の異常である可能性もあります。原因を調べながら脳に聴覚刺激を与える方法を検討して行きます。現在の治療法の主流は人工内耳です。2歳程度から埋め込み手術が可能になっています。言語習得の時期を考えると、早い時期の装用が望ましいと考える耳鼻科医が多いようです。但し、原因によっては人工内耳の効果が期待できない、と考えられるケースもあるので、主治医の説明をよく聞いてください。いずれにしても言語を習得させるのが目標なので、これから長い勝負になります。生後3ヶ月ではそれほど検査も治療も進められません。御両親がお子さんの病気をしっかり理解し、治療に対する心構えを作る時期である、と御理解ください。前述したように「治療法がない」と決まったわけではありません。難聴があるならあるなりに治療、療育を行います。その内容はお子さん一人一人みな違います。ですから、悲観する必要は全くありません。高度難聴をもつお子さんの成育過程で一番大事なのは御両親の理解と協力です。主治医と一緒にお子さんの健全な成長のために力を注いでください。お大事にしてください。
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